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【映画感想】『ROOM』と未評価な地点について

こんにちは。maximonelson49です。しばらく前だけど、『ROOM』という映画をみたので、感想を書くよ。

 

 

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この映画の概要をざっと説明すると、メインの登場人物は女性・ジョイとその子供・ジャック。ジョイはある男に7年間納屋に監禁されており、その監禁生活の中で妊娠・出産までしている。なのでジャックは、納屋(部屋)以外の世界を知らない。この映画は、ジャックの視点を中心に語られる。

この映画は物語の前半1/3で、監禁生活からの脱出を描いて、後半2/3で脱出後を描いている。映画の宣伝文句『はじめまして、世界。』にあるように、(脱出のパートも面白いんだが)脱出後のお話が面白い。

どこが面白かったかっていうと、ジャックの視点を通じて描かれる初めてだらけの世界と、ジャックの初々しい反応、そしてその反応の裏にある、世界が『未評価であるという地点』が面白かった。

とりわけ僕は『未評価である地点』について、何かこう雷に打たれたような思いがあった。たとえば、ジョイ(ジャックの母親)をどう描くか、という問題が、ここに関わる。

この映画のジョイに対する描き方とは、すなわちジャックがジョイをどう捉えているか、 ということでもある。そしてこの映画では、ジョイはことさら悲しい存在としては描かれていない。

しかしよくよく考えてみれば、この物語上ででジョイは7年間も監禁され、(おそらく数多くの強姦を経て)望まない妊娠・出産を経験している。それは、私たちからすればかなりエグくて、『悲しい』出来事だ。普通の映画なら、その感情を最大限に利用したがるものだ。

実際僕は、悲しいシーンがくることを予想していたし、なんなら描かれる前から、既にジョイは悲しい存在として評価されてしまっていた。彼女がどう感じるか、どう描かれるかということに関わらず、事件とその脱出劇を見て、彼女はもう悲しい存在であると、既に評価されてしまっていたのだ。

だが、実際に彼女が悲しい存在としてことさら描かれることはない。それは、ジャックがそう思っていないからだ。ここに、僕とジャックの間にある差・違いを見た。僕にとってジョイは初めから悲しい人だった。しかし、ジャックの中ではまだ未評価であった(これは捉え方の違い、とかいう問題ではない。)

もうこのことが、僕は強烈に、衝撃的だったのだ。こういう強姦とか監禁とかそういう事件を目の当たりにすると、社会化された僕らは、社会がその事件を悲しいものだと評価している通り、悲しいものだと評価してしまう。

つまり僕らは、感情すら、既に評価されたものの中で受け取ってしまっているということだ。そしてそのとき、ジョイはひとりの人間から、既に評価された、悲しい被害者の位置に立たされてしまう。その事件に対し、主観的な、ジョイとしての評価を下していいのは、ジョイだけであるはずなのに。

このような『未評価な地点』が僕の中ではほんとうに、強烈で、激しい衝撃だった。こうじゃないんだ、と思わされた。
感想としては以上。まあ長々と書きましたが単純にジャックかわいい映画でもあるので、ほっこり楽しめます。以上!

 

 

雑記
  • @MaximoNelson49 これに関連して、『スノーピアサー』って映画は良かったです。くっそアジア人顔した韓国人俳優がかっこよかった。カッコいい=西洋人の顔、という枠組みが崩された感。
  • @MaximoNelson49 あと『何者』の宣伝文句に「青春が終わる」ってあって、なんか切ないようなすげえざわっとした感じがあったんすけど、良く良く考えれば青春したいならすればいいだけの話だし自分に対して(殺すぞ…)という気持ちになりました。
  • また、小説を書くという行為についても、思うところがある。今まで僕は小説を書くとき、小説らしきものを目指して書いていたような気がする。しかし、そんなあらかじめ決められた枠組みを目指して何かを書く必要はない。僕は書くという行為を通じて何か成したいところのものがあり、それを十分成すことができれば書く行為なんてのはそれで十分だ。ゆえに、僕は小説を書く必要はない。もしくは「小説」を書きたいと自覚した上で書く必要がある。
  • あと、僕が会社の一員なのではなく、僕の人生の一部に会社がある、とか。