親です。

読んだ本とかについて書いてます

社会心理学の講義受けた

おつです。Maximonelson49です。先日社会心理学の講義を受けてきたのでそれを忘れないうちにまとめる。

 

講義の内容

 講義の内容は以下のとおり。

社会心理学の歴史と研究法
②対人関係を紐解く
③感情を理解する
④自分とは何か
⑤自己の働き
⑥援助と排斥
集団思考、意思決定の落とし穴
⑧同調と服従
⑨対立か協調か
⑩文化という社会のフィルター
⑫『わたし』の心理学

 

社会心理学の歴史と研究法

 社会心理学の起こりはみっつ(?)ある。ひとつめは(心理学はなんでもそうだが、)ライプツィヒ大学のヴントが1879年に公的な心理学実験室を作ったことから。彼は当初「心理学はそれ自体の方法を持つ経験科学であり、哲学などの形而上学から解放されなければならない」と語っていた。が、晩年には実験ではとらえられない面をつかもうと「民族心理学」を提唱しだす。現代の比較文化論みたいな、そこらへん。

 ふたつめは1908年。ここでSocialPsychologyの名前が出てくる。偶然にも心理学と社会学から同年に出てきていて、心理学はマクドゥーが『社会心理学序説』を、社会学からはロスが『社会心理学』を書いている。

 みっつめはレヴィン(1890~1847)。この人が実質的な開祖っぽい。集団行動の草分け的存在で、物理学の概念だった位相(トポロジー)を持ち込んで集団力学をやった。この人自体もすごいんだが、それ以上に人望がすごかったらしく、この人の弟子はマジで出来がいい。特にAsh,Festinger,Heiderの三人がすごい。こいつらのおかげで、アメリカ社会心理学は黄金時代を迎えた。

 1950年代が認知社会心理学の発展。認知的均衡理論や認知的不協和理論が出たりした。1960からは自己(Self)の研究が起きた。自己意識、セルフモニタリグ、自己呈示など。そしてこれらの(社会心理学とか言うくせに)個人的な流れへのカウンターとして、1970年代からはイギリスの研究者が社会的アイデンティティとか自己カテゴリー化とかを始めた。(この時代には北アイルランド紛争があり、集団と個人の関係についてイギリス人はたくさん考えさせられたんだとか)

 あと研究法もやったが割愛。

 

②対人関係を紐解く

 ここはよっつくらいの章にわけてやった。

 ひとつめは対人魅力の規定要因について。身体的特徴とか、類似性とか、熟知性とか、近接性とかが対人魅力を規定する。

 ふたつめは印象形成について。初頭効果とか中心特性と周辺特性とかをやった。人は基本的に第一印象の確認をする方向性で人間関係を作っていくから、第一印象を覆すのはむつかしい、という話を聞いた。

(まず初頭効果ってのがある。これは最初に与えられた情報が印象形成に大きくはたらくってこと。例えば次のような性質を持つAさんとBさんがいるとする。

A:知的である、勤勉、衝動的、批判的、頑固、嫉妬深い

B: 嫉妬深い、頑固、批判的、衝動的、勤勉、知的である

このふたりを比べたとき、Aさんの方がよい印象を持たれやすいという実験結果が出ている。だが、AさんとBさんは同じ性質を持っている。これ自己紹介のときに気を付けたほうがよさそう。あと中心特性と周辺特性について。印象を形成する特性の中には、ほかの特性に影響を与えるような中心特性と、与えられる周辺特性がある。)

 みっつめは認知的均衡理論や認知的不協和理論。前者はバランス理論って名前で家族心理学とかでも出てきてた。後者は結構有名じゃないすかね。この二つは後で解説の文章を載せる。

 よっつめは説得について。説得を外的要因、受け手、媒介過程、外顕的反応のよっつに分けて考えていた。面白かったのは、説得の要素として大きいのが「相手からのコミットを引き出すこと」という話。自分て行動を決定し、言質をとると、その行動によって相手は拘束され、引くに引けなくなる、というもの。つまり商品を売りつけたいとき、商品の良さをとうとうと述べるより、それを使わせて良い感想を引き出したほうがいいってこと。

 

③感情を理解する

 この章はそんなに面白くなかったので割愛。吊り橋効果とかやった。

 

④自分とは何か

アイデンティティについて。一般的に言われる個人的アイデンティティのほかに社会的アイデンティティというものもある。個人的アイデンティティというと自分で自分を形成していくものだったが、社会的アイデンティティは社会的に与えられるもの。アイデンティティについてこういう視点であんまものを考えることがなかったので、これは若干ブレイクスルーになるかなと思った。

ブレイクスルーと言えば、先生が「実験結果は事実であり、それを受け入れるときにブレイクスルーは起きる」的なことを言っていて、深かった。わしの場合だと、人間にはそもそも意志が存在しないのでは、とかがブレイクスルーになるかも。

 

⑤自己の働き

自尊感情とか。自尊心、ってのと同じ。日本では生きやすくなるために、という視点で語られることが多いが、発祥の地アメリカでは自尊心が高い人は他人に優しくできるよね、という話として発達した。あとは自己呈示とか、セルフハンディキャッピング(試験の前日に深酒するとかのやつ)、自己複雑性や自己高揚、ポジティブ幻想、自覚状態、自己開示、ジョハリの窓など。盛りだくさんだがあんまり興味そそられなかった。なんでだろ???

 

⑥援助と排斥

援助行動や排斥行動はどんな時に起きやすくなるか。

 

集団思考、意思決定の落とし穴

集団浅慮(みんなで考えたらあほな答えが出るやつ)がどのようにして起きるのか。アメリカの「キューバ・ピッグス湾侵攻失敗」を例にとって解説してもらった。日本のWW2敗戦とも重なるところが多く、民族的な特徴とも言い切れないんだなと思った。

 

⑧同調と服従

同調について。これは別途詳しい文章が用意してあるので後でそれをあげる。服従についてはアイヒマン実験スタンフォード(?)疑似監獄実験とかをやった。

 

⑨対立か協調か

ジレンマについて。囚人のジレンマや、それの大きくなった社会的ジレンマ共有地の悲劇社会的ジレンマの解消には信頼感が必要、という話の中で、相互監視的なムラ社会では信頼感は必要なく、そこには安心感があるのだという。実際に相手が何をしているのかわかるから、安心。逆に相手の動向が見えないときこそ信頼感が必要になってくる。アメリカで信頼という言葉が重要視される(らしい)のはこのせい、だとか。

 

⑩文化という社会のフィルター

ここが結構面白かった。文化の違いによって社会心理学の実験にもばらつきがある、という話。例えば、後述の同調実験は、日本だと全然同調しないらしい。意外だけど。

あと、『相互独立的自己観と相互協力的自己観のスキーマ』ってやつが面白かった。個人の捉え方が西洋と東アジアでは異なるってはなし。相互独立的自己観では個々人は独立した一人の人間ととらえるが、相互協力的自己観では自他を切り離した形でとらえず、互いに属性を共有していると考える。俺はこのふたつの自己観の違いを、生活の中でどのように責任を負っているのかの違いだと思ってきたけど、文化的な問題として存在するよね、という話で語られていた。となると、相互独立的自己観が優れていて相互協力的自己観が劣っている、という考え方はちょっと見直したほうがいい。相互協力的自己観を前提とした中での自己の在り方、そういう社会で、論理基盤をどこに置くのか、みたいなのがめっちゃ面白そうに感じた。

 

⑫『わたし』の心理学 

 先生の研究領域について教えてもらった。面白かったです。

 

こんなもん。

また、講義中に以下の三つの理論について小レポートを書いた。もったいないのでその文章もさらす。三つの理論とは、認知的均衡(バランス)理論、認知的不協和理論、同調の三つ。

バランス理論

課題:ハイダーのバランス理論を坊主憎けりゃ袈裟まで憎いで説明せよ。

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』とは、その人を憎むあまり、その人に関係のあるものすべてが憎くなるというたとえ。(デジタル大辞泉
ハイダーのバランス理論によれば、三者の心情関係は、均衡状態にあれば安定し、不均衡状態にあればそれを解消しょうとするものである。ここでは三者関係を本人P、他者O、対象Xとしており、PO,OX.PXの心情関係がプラスかマイナスかひとつずつ定める。このとき、PO,OX,PXを掛け合わせた結果がプラスであれば三者関係は均衡状態にあり、マイナスであれば不均衡状態にありその不均衡を解消しにかかる。
そしてこの『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』はまさに不均衡状態の解消の例である。具体的に説明すると、「発話者Pは坊主Xを憎んでおり、マイナスの心情を抱えている。坊主Xは職業柄、袈裟Oを着ており心情関係はプラスである。元々発話者Pは袈裟になんの心情も抱いていなかったのだが、この三者関係にバランスを持たせるため、マイナスの心情を抱くようになる。」

 

認知的不協和理論

課題:タバコの悪影響を知りつつ毎日30本吸う人の心理状態を認知的不協和理論で説明せよ。

認知的不協和理論とは「自己や自己をとりまく環境に関するあらゆる認知の間に生ずる不協和を回避するために人は様々な方策を使う」というものである。代表的なのが態度と行動の矛盾によって生じる不協和であり、人はこの不協和を下記4つの方略によって回避しようとする。まずひとつめは行動の変化である。これは態度にそぐわない行動を変化させることである。ふたつめは認知の変化である。これは行動にそぐわない態度を変化させることである。3つめは新たな認知の付加である。これは行動を支持する態度を追加で取り入れることである。最後が新たな情報への選択的接触である。これは行動にそぐわない追加の情報が入らないよう情報を選択することである。ひとはこれらの中からもっともコストの低い方略を選択し、不協和を回避する。
タバコの害を知りつつタバコをやめないのは、タバコを吸うという行為と、タバコの害を知っているという態度の間で認知的不協和が生じている。そのため、タバコを吸う本人はこの認知的不協和を解消させるために4つの方略のうちコストの低い方略を選択し、実行する。そして知っての通りタバコは依存性があり、行動を変化させるコストはベースとして高い。そのためタバコを吸う本人は、タバコには短期記憶を一時的に向上させる効果があるなどと言いつつ、新たな認知を付加し、不協和を解消する。その結果として態度が変化し行動は変化しないのである。

 

同調理論

課題:同調の代表的な実験の解説とそこから言えることは何か。

まず同調とは「他者あるいは集団が提示する標準と同一あるいは類似する行動をとること」である。
この同調に関する実験として、アッシュ(1953)による実験がある。概要としては、実験参加者にふたつの画像をみせ、左の画像に描かれている棒が、右の画像に描かれている三本の棒のうちどれと同じ長さであるか答えてもらう。単純な質問であるが、回答者として参加者の他に間違った回答をするサクラを混ぜておく。参加者がこのサクラに同調するか、またサクラが何人以上になったとき同調の傾向が強まるか、について実験が行われた。
結果としては、サクラが3人以上となったとき、同調行動の傾向が強まり、それ以上サクラを増やしても傾向に大きな変化はなかった。また、サクラの中にひとりでも正しい回答をする回答者がいた場合、同調の傾向は下がり、ほかの回答者と顔を合わせずに回答させたときも同調の傾向は下がった。
このとき、同調の理由としては、次のふたつがあげられる。ひとつめは規範的影響で、他人から好かれたいという気持ちを満足させるためである。ふたつめは情報的影響で、正しくありたいという気持ちを満足させるためである。
このことからは、以下のことが言えそうだ。たとえば教育の現場でいじめをやめさせようとする際、みんながいじめに参加・同調する中で1人だけでいじめを止めようと呼びかけても効果は薄い。いじめを止めようと説得するのは他のいじめ参加者の目のないところで一対一で行い、また呼びかけも3人以上のグループを作り行えば、その他の人の同調を得られる可能性が高い。

 

以上。これ先生にネット検索されたら色々まずい気もするけど、まあいいか。日にちずらそ。