少し前に高田ゲンキさんバズってたけど
ちょっと前に高田ゲンキさんがツイッターでバズってた。んで、彼の発言に関して腑に落ちないところがあったのでメモっとく。
高田ゲンキさんの痴漢ツイート
くだんの高田ゲンキさんってのはこちら。
(高田ゲンキ (@Genki119) on Twitter)
投下していたのは痴漢についてのツイート。概要としては男が思ってる以上に女性は痴漢被害・性被害受けてるよってもの。女性側からしたらよく知られた事実も男性側からすると驚きだった。俺も妻と付き合う前まで痴漢やら性被害の実際については全然知らなかったので、驚く気持ちは理解できた。んでかつ高田ゲンキさんが言ってたのは、それは男も他人の問題としてでなく声あげようよ、みたいなもの。これに対してはざっと見る限りポジティブな反応が多かったかと思ってるんだけど、「被害者でもない人間が偉そうな発言をするな」的な批判もあったようだ。
で、俺が今回取り上げたいのは、その部外者批判に対する高田さんの反論。
僕のことを指して「彼は痴漢の当事者じゃないから、部外者として発信できて気楽なもんだ」的な批判をしてる人がいるようだけど、こういうシリアスな問題ほど部外者が気楽に(しかし真剣に)語れる空気を作らないと社会は変わらないと思うよ。それはこの問題だけじゃなくて、政治も経済も宗教も一緒。
— 高田ゲンキ (@Genki119) 2017年10月30日
まあこの「気楽なもんだ」的な元ツイートを読んだことがあるわけではないので厳密な議論の流れは分からない。
俺としては高田さんの発想も理解するが、この反論の仕方は自己否定的だなと思う。ここでは相手の考えが何故発生しているのか傾聴するとか想像力働かせるとかしてフォローしつつ引用するべきだったのでは? と思う。
っつーのは、これ高田さんへの批判の論旨は「部外者として発信できて気楽なもんだ」=「我々にとってこの問題は社会の問題であると同時に非常にナイーブな個人の問題でもあり、そこは切り離しようがない」と言っているわけである。
そこに対しての高田さんの反論は「社会の問題」として焦点化した時に「気楽だな」という批判は社会の変化を阻むからやめろ、というものだった。
まあつまり、ここで繰り広げられているのは、「社会の問題」としてだけ扱いたい高田陣営 vs 「社会の問題」であり「個人の問題」でもありそこは切り離せない被害者陣営の戦いなわけだ。
で、この痴漢の問題について個人的な感情を切り離せねーって言われたら、それはもう否定のしようもない。だってそう感じるんだから。感じるってのは事実だ。
そしてそう言ってる人に「いやけど、切り離したとしたらさ…」と話を進めるのは誠実じゃなくないすか? と思う。
さらにツイートを追うと、
痴漢問題は部外者が関心をもたなければ前進しないと私も思いますが、女性からしたら痴漢は男性の問題なので、男性達が気楽に話してたら、もっと主体的に取り組めよこの野郎と思うし、そうやって気楽に話せる性と、被害にあい苦しむ性の落差には絶望しますね。
— 心配性の丸い顔 (@shinmaru66) 2017年10月30日
そこは仕方ないと思いますよ。被害者の方全員からそういう反発があるわけではなくほんの一部ですし、気楽にというのはモチベーションしての話で、話自体はあくまで真剣にするべきだと思ってますし。それでもどうしてもモヤるならTwitterにおいてはミュートしてもらえれば済むと思います。
— 高田ゲンキ (@Genki119) 2017年10月30日
被害者の方の心情を逆なでする気は毛頭ありませんが、被害者の女性と同等の当事者意識を持たないとこの問題を語るべきではないというのは、僕の発信の趣旨とは全く異なるので、お互い見えない場所でそれぞれやれば良いと思います。多様性とはそういうことなので。
— 高田ゲンキ (@Genki119) 2017年10月30日
語るべきでないと言っているのではありません。社会問題の加害者に属する側が、全員その問題に全力で取り組めるわけないのは分かります。それは私自身もそうです。
— 心配性の丸い顔 (@shinmaru66) 2017年10月30日
ただそこを開き直るのは違うでしょと思います。ましてやそれを被害者に言うことは、被害者の心情を逆なですることだと思います。
ある層にダイレクトに伝わるような言葉を使うと別の層には誤解されたりするんです。で、誤解されない表現にすると、今後は伝えたい層には伝わりにくくなるんです。僕は被害者に向けて発信していませんので(発信の結果が被害者の方の為になるとは思ってますが)、
— 高田ゲンキ (@Genki119) 2017年10月30日
被害者の方の一部は逆なでと感じるのかもしれませんが、そこに合わせて表現を変えるのは本来の目的とズレるので、するつもりはありません。なので開き直りとも違いますし、ミュートして欲しいというのは、そういう意味です。
— 高田ゲンキ (@Genki119) 2017年10月30日
特に今まで痴漢問題について関心をもってなかった日本人男性を主に対象にしてツイートをしているということでしょうか?
— 心配性の丸い顔 (@shinmaru66) 2017年10月30日
それならなおさら、加害する側の層の当事者意識が低い状態で、問題解決がありえるのか疑問です。
痴漢問題の根底にあるのは、男尊女卑で女性を低く見ていること、女性を→
性的に消費するのが普通だと思わせるポルノの氾濫など、男性側の都合によるものなのだから、男性側の当事者意識は高くあって当たり前と思っています。
— 心配性の丸い顔 (@shinmaru66) 2017年10月30日
しかし、加害者でない男性が、当事者意識を持ちにくい事も理解できます。ただそうだからと言って、その努力を放棄する、又はなくてもいいという→
様な態度は、被害者側からしたら開き直りになるのではないでしょうか?
— 心配性の丸い顔 (@shinmaru66) 2017年10月30日
まあいいじゃないですか、それぞれのやり方で。僕はそう思わないし、自分のやり方でやるって言ってるんだから、それ以上異論があるんだったらブロックかミュートしてくれればいいだけです。そろそろあなたもミュートします。
— 高田ゲンキ (@Genki119) 2017年10月30日
(引用の仕方見づらくてすんません)
高田さんもそこらへんは分かった上での発言のようだ。「切り離せない」なら俺の発言自体を切り離してくれ、と言っている。こういうスタンスは、発信行為があくまで"つぶやき"ですよと担保されている(かのように見える)ツイッターではちょいちょい見られる意見だ。お前が俺のツイート見にきてるんだろ、誰も頼んでねえんだから見なくていいよ、みたいな。嫌なもん見ちゃったなーで終わってくれよ、お前の苦しみはお前のもんで俺には関係ない、俺には発言の自由があるんだから、みたいな。
んで、俺はここでうーんとなっちゃうんですよね。俺とお前の語りたいものは違うよ、だから違和感抱くなら切ってくれよ、ってのはある程度分かるんだけど、そこまでだな、うーんとなる。全然発展性がなくてこれも新自由主義の限界点的なものだと思う。なので、実はまだ語られていない論点があるように思うし、それが出てきたらありがたいなってのが感想だ。あとはなんつーか、社会問題を扱うってのは他人の責任を負うことだから、他人の心の問題引き受けるくらいの精神的余裕は持ってくれよなとも思ったりした。
以上。