親です。

読んだ本とかについて書いてます

技巧的ではない、感慨の小説を書くこと

お疲れ様です。今日はたくさん仕事したなって感じあるので日記でも書く。

書きたい小説と書ける小説

小説について。 えー前回の5000文字くらいの小説を書いてはや三週間という感じで、先週末本当は小説をかけそうだったんだけど仕事がいろいろ入ってかけず、時期を逃してなんか違うなとなってかけていない。

いや正確にはちょっとだけ書いた。5000文字くらい書いたら全然終わる気しなくて、これ2万文字コースだなと分かったら書く気がなくなってしまって止めてしまった。2万文字コースでちょっと構成に難がありそうだなとなると、割としばらくの間小説のことで悩まないといけないから、今はちょっと違うなと思ってやめてしまった。

で、そん時思ったんだけど、あ、もうこれ載せるかな小説。一部載せます。

咄嗟のことだったので全く反応ができなかった。たたらを踏んだ足は何も捉える事ができず、大きな音と共にわたしの体は水の中に沈んでいた。5月の日の光のなかで、初夏の光の中では涼しく感じるそれ、実家で飼っているアクアリウムの、悪くなってしまった時の匂いを思い出す。
岸では、祝が冷めた目でわたしを見ていた。
「なんで......」
「むかつく」
カバンが水面に浮かんでいる。草船のようにぷかぷかと浮かぶそれを追いかけるため背中を向けると、祝はその間にすたすたと歩いて行ってしまった。
岸に上がったわたしの全身からは水が滴っていた。それらがすべてくさかった。変な感触がして腕を振ると、緩い裾から小魚が飛び出した。真鮒だ。拾い上げて池に放り投げてやる。

これが冒頭。

自分で言ってしまうのもどうかと思うが面白くない。

そして別のシーン。

釣り具シーウィードにたどり着くと、中崎はちょうどスクーターにまたがってタバコの火をつけるところだった。わたしをみると目をまんまるにして、直後にお腹を抱えて笑い出した。
「え、え、すっごい、どのドブから出てきたの?」
「そこの......」
中崎はわけを聞くとさらに笑い、濡れたままのわたしをスクーターの後ろに乗せてくれた。向かうのはここから五分程度の彼女の部屋。
部屋に入ると、彼女はわたしを風呂まで誘導し、自分は部屋の奥に引っ込んだ。わたしがシャワーを浴びて出てくると脱衣所にはスウェットの上下があって、わたしが脱いだ服はスーパーのレジ袋に入れられる。ごぶさたしました、と言って風呂から上がると中崎は、
「ほじゃ、いこか」
と再び腰を上げる。
やってきたのは近所のコインランドリーだった。蛍光灯に照らされた家屋の中に古い型番の洗濯機と乾燥機が並んでいる。隅には粉の洗剤が大きな桶の中に入っていて、一回一杯、と張り紙がしてあった。
利用客はわたしと中崎だけだった。
洗濯機をセットすると、わたしは週刊漫画雑誌を、中崎は西村京太郎の『日本列島殺意の旅 西村京太郎自選集4』を読んでいた。金髪の彼女が眉間にシワを寄せて気難しそうにそれを読んでいるのはなかなか面白かった。
少しすると、中崎は文庫本にしおりを挟んで伸びをする。
「これ、来るとついついと読んじゃうんだよなー」
「何回も読んでんの?」
「ん。何回も、何回もだな、というかしおり挟んでるんだけど誰かが動かすから同じところばっかり読んでる気もする」
それで満足なのか? と疑問に思ったが声に出しては聞かなかった。そのうち洗濯機が終わったので洗濯物を乾燥機に移し、わたしの持っていた週刊漫画雑誌が青年誌に代わり、中崎は『日本列島殺意の旅 西村京太郎自選集4』を胸に抱えたままスノコの上で横になり、気がついてみると雨がぱらつき出していた。
「中崎ー」
「......え、ああ、何」
「雨降ってきちゃった」
「あーほんとだ。やむかな」 「どうだろ。もうすぐ乾燥機終わるからさ、その時まだ小雨だったら帰る?」
「そうしよか」
中崎は再び眠りに戻る。
乾燥機でふんわりと仕上がった衣類をビニル袋にまとめる段になっても、まだ雨は強くなかった。じゃあ、と言って中崎は雨の中スクーターのエンジンをかけ、わたしもその後ろに乗った。私たちは家まで帰る。

どちらも文章は校正せず、勢いを殺さずに書いてるので文法のミスはある。

けど俺は後者の方が気に入ってる。このお話のメインは祝と私のはずなんだけど、冒頭の祝のシーンはなんか死んでて、中崎とのシーンの方が俺は気に入った。

で、多分これは、冒頭に事件を起こせ、みたいなアレのためにキャラクターをぐいと引っ張ってきてしまって、祝の面白味がなくなってしまってるんだろうなあと思う。

あと、前回の中断した中編を書いていた時も思ったんだけど、何かを言わせたいシーンを描こうと思うとやっぱ死ぬんだよな。ただ中編なんてプロットあってなんぼみたいなところあるから、プロットを立てずに書くわけにもいかない。まあざっくりと決めるポイントだけ決めてあとは流れでやるのがいいのか、どうだろうな。

で、俺はやっぱりこう技巧的な小説が好きなんだけど、それでもこうやって技巧的に何かを書こうとした時に物語が死んでしまうという現象はあるんだよな。

関連するトピックとして、最近尾崎放哉とか後藤比奈夫とかを少し読んで、こう、生活感のある朴訥とした感じもいいなというか、そういうことも思った。あと保坂和志の『プレーンソング』をいま読んでるんだけど、ああいうストーリーの完全にないものもそれはそれで面白い。あと、『あたしンち』とかも。

考えていることをベラベラと書き留めていくと、自分、技巧的でサスペンスフルなものを書きたいと思っているけど、書いていて面白く感じるのは事件の起きていない、何を書いても良いもので、そういうものを書いた方がいいのかなあと。それの方が少なくとも楽しいし書き続けられるかなって。

それを思った時、いわゆるサスペンスではなくても、うまいこと整形する手法とかあるのかなとも。ぽんやりとしながらも、物語としての体裁を整えられる、書いたなと思えるラインがどこにあるのか。以前書いた「いつも爆笑ツイートありがとうございます」みたいなお話も何かあるかっていうと別れとそこへの感慨で、そういう風にまとめられたら自由にいろいろかけるかもなあって思ったりした。

そうなるといいね。

女性主人公

あと、書いておかねばと思ったんだけど、俺は最近殺伐百合戦線というインターネットの企画に投稿できんかなと思って書いてて、なのでというか、女性の主人公が多い。これは企画がそうだからっていうより、そっちの方が書きやすいから。 っていうと、なんか妙な気持ち悪さを感じたりもする。これってインターネット女装みたいな感じかなと思ったりもする。女の隠れ蓑みたいなのを使って好きにする、女だからかわいいはずだみたいな感じで描くのが楽になる。 これ、いや、マジで書いててキモいな。

けどまあ、これだと書けるんすわ。男を面白く描くというのがめっきり無理になってしまったな。悲しいことだが、どうにかなると良い。

眠くなって何書いてるのか分からなくなってきたのでここで終わり。