親です。

読んだ本とかについて書いてます

2020.10に読んだ本とか

ほい、今月読んだ本です。感想は毎日つけてる日記から転載。

2020.10に読んだ本

『言葉ダイエット』橋口幸生

文章術的な本。けどまあ普通のこといってた。Web前提の時代になってどのように文章作法が変わったのか、みたいなことを知りたかったんだけど、まあこれまでの内容だったので、ふーんだった。

ハウルの動く城

宮崎駿の『ハウルの動く城』がすごい好きで何度も見てるんだけど、原作もあるやんと思って買ってしまった。
まあ正直途中で若干飽きたなと思うところもあったんだけど、原作は原作で愉快で、とくに7リーグ靴で歩くシーンが好き。一歩で10kmを歩いてしまう七リーグ靴を使って目的地まで歩くってだけなんだけど、勢いがすごい上に主人公がおばあちゃんだからよろけて余分に七リーグ歩いてしまい、戻ろうとするとまた余分に歩いてしまい...というやつ。まあ単純な話なんだけど、あらあらあら...って感じで、愛しい面白みがあった。(と言うことを妻に話したら「少女じゃん」と言われた、確かに)

『新・何がなんでも作家になりたい!』鈴木輝一郎

鈴木さんの小説講座をとることになり、著書を読んどけって話だったのでKindleで買えるものを選んで読んでいる。この本自体は業界本って感じで小説の書き方本ではない。まあなんか読みやすくてよかった。

『何がなんでもミステリー作家になりたい!』鈴木輝一郎

これも課題図書。いままで小説の書き方本はあほみたいに読んできたけど、この本はかなり作家の視点から書かれてて面白い。作家志望者への観察眼みたいなのがよくて、とくにおーと思ったのは、作家志望者はストーリーの作り込みについてはよく勉強するけどキャラクターの作り方についてはかなり甘い、ということ。これはほんとにその通り、キャラクターの作り方について書かれた本は相対的に少ない。おれもあんまり読んだことがない。なんでだろ?

『信長が宿敵 本願寺顕如鈴木輝一郎

もうほんとめちゃくちゃ上手くて、この講座とって良かったなと思った。講師が普段から言ってる内容と符合するところも多い。なにより救いなのは、これはわりと再現性のある技術だろうなと思わされることだ。調査してキャラクター詰めて書くみたいなのは、努力でなんとかなるところがある。
もうすこし小説自体の感想を書いておくと、古いものと新しいもの、父と子みたいなテーマを顕如と信長、顕如とその子・教如の関係性(など)に映しながら書いていた。自分のことを全然敬わない息子みたいなのは、たぶん歴史小説を読むような層には刺さるんだろうなあと思うし、こういう淘汰される側の視点みたいなのを(それはそれで問題でもあるが)不愉快にさせずに描くのは上手いなと思う。まあテーマを前面に出しすぎず、ちゃんと出来事を通じて書いてるからこういうことができるんだろうなと思う。
歴史ものは10年とかの期間の、重要な出来事を小説に起こすわけで、内容がとても濃くなるのも良いなと思う。『熱源』もそうだったけど、こういう内容を濃くする技術みたいなのがあるよなーと思う。一人称、短い期間の話でやってるケースがあれば知りたいなと思う。

『青蘭国後宮みがわり草紙』早見慎司

小説講座の課題図書だった。琉球をモデルにした架空の世界を舞台に王宮ものをやってる。読みやすかったなあというかんじ。

『殴り合う貴族たち』

藤原実資の『小右記』をもとに貴族社会の暴力事件をたくさん紹介してくれている。また単に事件を列挙しているのではなくその背景をわりと丁寧に解説してくれているので、なんというか、藤原実資事件ファイルみたいなかんじになってる。
良かったな〜と思うのは、こういうのを通じてまた『今昔物語』とかに触れる機会ができそうだということ。今昔とか、宇治拾遺とか、あと平家物語とかは俺にとって多少馴染みのあるもので、まあ下心を隠さず言えば、小説のネタにするための肥やしみたいにしていきたいので、うむ。
けどどうすればいいんだろうね、こういう貴族ばっかりの時代ってあんまり歴史小説として読んだことないな。王朝ものなんだろうけどいわゆる。天然痘の流行を書いた『火定』は面白かった。他にも何かないか探してみたい。

『三体』

序盤の文革のところでずっと読むの止めてたんだけど、オウビョウパートになってからはサスペンス味がぐんと増して、あとはまあ一気に読めた。『ハウルの動く城』は長々と一週間くらいかけて読んでいたけど、『三体』は3日くらいだった。ちなみに後者は前者の1.5倍の長さ。
こっからネタバレしながら感想書いていくけど、やっぱこう、読み味の違う面白さを組み合わせてやられている感じが良かったなと思う。文革のドラマと、ネットゲームのトンデモ感と、現在進行形のサスペンスと。あと全体的にスケールのデカい馬鹿らしさというか、あまりに大胆に嘘をつくとみんな信じてしまうみたいな感があった。偉人たちが集まって恒星の動きについて喧々轟々とやりあってるのとか、計算陣形とか、デカい船がスライスされるのとか。あとあのTEOにいた3人の体術娘たちはなんだったんだろう。

『ふくしま第一原発作業員日誌』

すごく良い本だった。タイトル通り、事故当時の2011年から2020年まで、原発とその周辺の状況をまとめてくれている。現場や避難区域の様子、高いストレスと放射線量、賃金や補償金をめぐる金の話、家族と離れ離れになりながら原発で作業にあたる作業員たちなど、いろんなことが書かれていたと思う。
読む中で気になったのは、なぜこれだけ厳しい環境でもあえて原発で働きたいと思うのか? ということ。それは立場によって様々だとは思うけど、ずっと原発固執していた地元作業員が原発での作業をやめてから語った「今は自分の人生を歩めています」というような言葉が、あー、と思わされた。自分の生活を完全に変えてしまった原発にたいして、単なる被害者という立場を取れなかったのかもしれないと思った。被害を受け止めるのは難しいことだ。もちろん、他にも福島や国のために働きたいと思ってという人とかもいる。
他にも色々とウオと思わされることはあった。ストレスで家族にきつくあたってしまい、そのことについて記者に泣きながらおれは狂ってるんだと打ち明ける作業員とか、離れ離れになったため幼い息子から懐かれずにいたが、原発の敷地内で捕まえたポケモンGOポケモンを見せたら懐かれた、以降ずっと被曝しながらポケモンを捕まえている...という話。あとまだ小さい子どもから原発で頑張ってきて、と言われていく勇気が持てたとか。最後のは将来子どもがそれを知ったら自責するだろうなと思う。

『隠れ町飛脚三十日屋』鷹山悠

ポプラ社の新人賞で奨励賞だかを取ってた作品。小説講座の課題図書で読んだ。
江戸時代後期の浅草あたりを舞台に、町飛脚(個人の郵便サービス)を営む主人公・静が、普通の町飛脚では送れないような曰く付きの手紙を送る、という話。その「送れない」というのが課題になっていて、どうにか送ることでお話がしまる。連作短編形式で四本入っていた。
今朝『ふくしま原発作業員日誌』を読み終えた時点で、今月はこれで終わりかなーと思ってたので、滑り込みでさらさら読めてしまって驚いた。けっこう軽くて、人情ものってかんじで、なんというか、演歌っぽいなと思った(ラノベがJ-POPなら、という意味で)。
こういう演歌みたいな小説は過去に『幕末ダウンタウン』を読んだことがあるくらいで、そしてあの小説を読んだときはなんか物足りないなと感じたんだけど、今回もちょっと物足りないなと思った。まあでもこの読みやすさはすごいなと思うので、トレードオフの関係なのかもしれん。
おれが書きたいのって(映画だけど)『ソウル・ステーション/パンデミック』みたいな、めちゃくちゃエンターテイメントなんだけど、背後にすごく社会的なテーマを背負ってるみたいなやつで、これは読みやすさとテーマの重たさを兼ね備えてるんだよな。おれは小説が下手くそなのでぜんぜんエンターテイメントもテーマもうまく書けないと思うんだけど、でもどうにかできるようになりたい、たくさん書こう、などと思いました。

2020.10に見た映画とか漫画とか

スティールボールラン

漫画。一巻だけ読んだ。11月にもうちょい買い足したい。やはりジョジョは面白い。

勇者のクズ

漫画。なんかこれの画像がよく回ってくるので読んだ。もともとWeb小説らしい。

タイムパラドクスゴーストライター

ジャンプ漫画。漫画家の漫画で、二巻打ち切り。ご都合主義な展開が多かったけど、絵が綺麗で面白かった。

あー今月映画見てないわ。そんなことある? 韓国ドラマはたくさん見た。『青春の記憶』とか『スタートアップ』とか。あとアニメだと『ドロヘドロ』をちょっとだけ見た。

2020.10に書いたもの

新人賞向け六万文字程度の作品

先々月くらいから書いてる。 小説講座で、新人賞送らないやつ書いても意味ないぞ、本気で書かないから、みたいに言われたため送ることにした。とりあえず11月中旬くらいまでに第一稿をやって、それから全体的に設定を詰める作業をし、再度書き直す予定。年末に完了させてWeb応募。
そこから次の作品を考えて、と言う感じ。次の作品はテーマだけは決まってて、絶望と信仰についてかく。労働小説かつ、青春小説みたいになればいいなと思う。まあ、どうなるか知らんけど。

最後に

今月は前半は小説をよく書いた。小説講座を受け始めて、ちゃんと仕事やるくらいの気持ちで書かなきゃダメだなと思い始めた。それに読書量自体も(冊数は)増えた。書きたい小説のテーマが定まったのもよかった。
来月もよく読みよく書いていきたい。以上!