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社会心理学 ① 「対人認知の歪み」「社会的推論の歪み」についての解説

どうもmaximonelson49です。大学に出してるレポート、どうせならと思って公開。

 

本レポートでは、社会的推論の歪みについて『子どもの行動に対する親の認知』の例をあげて説明する。

 なお、本レポートは他者(子ども)に対する認知という点では対人認知の歪みを扱うものともいえる。ただ、対人認知に関する理論はプロトタイプ理論や期待効果のような、先入観にまつわるバイアスを扱った理論が多い。これらは少ない情報から相手の印象を形成するために獲得された認知傾向である。しかしそのために、親子間のような持続的な関係性で生じる認知の歪みを説明するには向かない。そのため私は親子関係における認知の歪みを、社会的推論の理論である帰属のバイアスを用いて解説する。

  まず、子どもの行動に対する親の帰属については、中谷が継続的な調査・研究を行っている(2006,2007,2013,2016)。中谷の研究ではWeiner(1985,1986)の帰属理論をあげ、また臨床的観点からも「虐待する親の認知に関して、「親をわざと困らせると捉える」などの被害的認知と虐待の関連」を示すなど、帰属理論の特に被害的認知について注目している。中谷の研究は一貫して『子どもの行動⇨母親の認知特性(帰属の要因)⇨喚起される感情⇨不適切な養育』というルートを取りあつかい、被害的認知に代表される帰属のバイアスがどのように不適切な養育に繋がるかについて研究している。子どもの行動がどのように・何故歪んで認知されるか? という点については全く言及されていないが、中谷の研究からは『被害的認知などの帰属のバイアスが、親子間のコミュニケーションでは発生しやすい』ということを示すものであると考える。

 では、具体的にどのようにして社会的推論の歪みが生じるのか。ここでは親子間のコミュニケーションについて、「ファミレスで騒ぐ子どもとそれを叱る親」という日常風景を具体例としてあげ、説明する。

まず、ここでは帰属のバイアスのひとつである「行為者-観察者バイアス」が作用していると考えられる。これは他人の間違いはその他人本人の性質からくるが、自分の間違いは自分の性質ではなく状況に要因があると帰属させる傾向のことである。「ファミレスで騒ぐ子どもとそれを叱る親」という具体的場面においては、親は観察者・行為者の両面から帰属にバイアスをかけている。まず観察者の視点からは、「騒ぐ子ども」を観察し、その原因を子どもの性質においている。そして同時に行為者の視点からは、「子どもを騒がせる親」として行為しており、このとき子どもという状況に要因があり、親自身には要因がないと捉える。このため親子間のコミュニケーションにおいては親が行為者-観察者の両面から子どもへの原因帰属を深めることとなり、社会的推論の歪みが発生しやすい。また他にも根本原因の過誤(過度の内的帰属)やセルフ・サービング・バイアスなど、騒ぐという行為の要因を子ども自身に求める傾向がある。

では何故このような帰属のバイアスがかかるのか。『グラフィック社会心理学』p56では帰属のバイアスがかかる要因について「自尊心の維持防衛という動機論的観点から説明がなされている」として自尊心の問題を挙げている。親子関係においては、子どもを上手く育てることが親としての自尊心に大きく関わる。子どもが良く育つ要因としては、子ども自身の育てやすさと親の育てのうまさが挙げられるが、このとき子どもが育て難ければ育て難いほど、親の育ての上手さは問題とならず、ゆえに自尊心も傷つかなくなる。つまり、親の自尊心の問題を考えるとき、子どもは育て難いほど好都合であり、叱る行為は親の自尊心維持にとって合理的である。

 以上のように、親子関係におけるコミュニケーションでは社会的推論の歪みが発生しやすいのである。