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子ども産まれるんで育児とか生き方について書きます。映画とか心理学とかITとかの趣味についても書きます。

16_導入および第一ターニングポイントについて

どうもMaximoNelson49です。導入の書き方について、なんだか考えているうちにごちゃごちゃしてきたのでまとめる。
(ちなみに僕は『SAVE THE CATの法則』とか『ハリウッド脚本術』とかそういうの読んで育ってます。)

導入の定義と基本的な役割

「導入」という言葉について、とりあえず下のように定める。
物語開始直後から、読者と主人公が初めて同期する地点まで。
前提として僕は、ストーリーとは動機と行為の連なりだと思っている。動機があって主人公は行動し、その行動から新しい動機を得る。その繰り返しがストーリー。ストーリーに読者を乗せるには、主人公の動機か行為、どちらかに納得してもらう必要がある。

上の定義で言っている「同期」というのは、動機か行為に納得してもらうこと(あるいは違和感を抱かせないこと)。まあ、いわゆる感情移入した状態と言っていいと思う。導入の役割とは、いち早く読者を主人公に同期・感情移入させることだ。
たぶん小説を書く人は、序盤でどう読者の心をつかむか、みたいなものに苦心することがあると思うのだけど、僕の中ではとりあえず同期作業をしておけばいいんじゃないかな、というのが定説。


同期・感情移入

では、どう同期(感情移入)させるか。
感情移入させる上で王道的なやり方は、読者の動機と主人公の動機を一致させること。両者の動機が合って初めて、主人公と読者が同期する(ややこしい)。
主人公が好きな女の子に告白する。
このとき、読者が女の子に萌えなど感じていれば(告白して付き合っていちゃつきたいと思っていれば)、読者には告白の動機があることになる。そして、主人公も付き合いたいと思っていれば、告白の動機があることになる。これによって両者動機を持ち、感情移入がひとまずできる。

で、こういう王道的なやり方って案外難しい。むしろ僕がよく考えるのは、それ以外の邪道的なやり方。代表的なのが、ミステリー小説の導入。
主人公の友人が殺され、主人公はその謎を解く。
主人公が謎を解く理由はなんだろう? それは大切な友人のためとか、犯人に仕返しがしたいとか、そういう個人的なものだ。
では読者が謎を解く理由はなんだろう? それは殺人に含まれた謎自体を解きたいからだ。(ミステリの歴史的にはWhoDunit(誰が殺したか? )、HowDunit(どう殺したか?)、WhyDunit(なぜ殺したか?)などが上がる。)
このとき、主人公と読者の動機は異なる。しかし取られる行為は同じ(犯人を探すなど)で、読者は主人公と異なった動機を持ちながら行為に納得する。両者は視点を同期させ、感情移入する。

近年のアニメで考えれば、「けいおん!」は主人公が何かしたいという動機を持ち、読者もそれに沿う。(もしくは読者の動機は、心を削がれることなく可愛い女の子を観察したいというものかもしれないが。そう考えると、王道的な同期は序盤の時点ではあまりないのかもしれない。)

まあよくよく考えれば当たり前の話だと思う。掴みが大切ですよね〜〜と言われるのは、読者の読む理由を作れということだ。メタ的な理由でもいいので、とりあえず読者の動機を喚起し、主人公の行為に読者が納得できるようにしなければならない。tips的にまとめるならば、
主人公の最初に取る行動には、主人公がそれを行う自身の動機と、読者がそれを行う動機のふたつが必要。
主人公の動機と読者の動機は、必ずしも一致しなくてよい。

上の内容で、主人公と読者をひとまず同期させることは可能だ。同期が出来たなら、その同期を持続させ、より強いものにしなければならない。(何故ならストーリーの目的は、より深い感情移入(同期)を引き起こすことだから。つまり物語を切実なものにし、ぞわぞわさせたりわくわくさせたりしたい。)
そのためには、上で行った行為への納得だけでなく、動機への納得を得なければならない。物語の中で、読者に物語を読む動機を強烈に植え付けることができれば、よい序盤と言えると思う。

ではどう動機を植え付けるのか。ひとまず強烈であるかは置いておいて、動機の植え付け方は以下の通り。ストーリーは動機と行為の繰り返しと言ったが、導入で行為に納得した後、読者はその行為によって引き起こされる動機にも納得する。たとえば、
主人公の友人が殺され、主人公は謎を解こうとする。すると容疑者の一人が事件当日不可解な行動を取っていたと判明する。主人公はその容疑者を調べなければならないと考える。
友人の死により、主人公は犯人を探し始める。
手がかりはないかと思っていると、容疑者の不可解な行動が判明する。
容疑者を調べたいと思ったので、調べる。

だいたいこんな感じ。動機と行為は連鎖する。ではもっと強烈な動機を植え付けるにはどうすればいいのだろう。ここから先は僕も勉強中なのだが、ひとまずわかる範囲まででまとめていきたい。


動機の植え付け

第一ターニングポイント(物語の破壊)
『SAVE THE CATの法則』という本がある。僕にとってはまあ、かなりバイブル的な本なのだが、こ『SAVE THE CATの法則』では、ストーリーのテンプレート(?)みたいなのを示して、それを元にストーリーを作ることを推奨している。物語のこの地点では、こういうことをしなさい、と。
そしてそのテンプレートの中に「第一ターニングポイント」というのがある。ストーリーの25%の位置にあり、役割としてはたしか「テーゼ世界からアンチテーゼ世界への移行」とかそんなもんだった気がする。僕はこの地点でそれまでの物語が壊されることから、物語の破壊と呼んだりする。
で、この「第一ターニングポイント」が何かというと、読者に強烈な動機の植え付けを行っていることが多いのだ。ではどんな手法によって強い植え付けが行われるのか、まず動機の分類をした上で、説明したい。

動機の分類
動機は、以下の要素を持つ。(分かっている範囲)
  1. 積極的動機か消極的動機か
  2. 直接的動機か間接的動機か

  3. 個人的か一般性を持つか
  4. 過去の動機か現在の動機か
①については、主人公が積極的に「〜したい」と思い行為するか、消極的に「〜しなければならない」と急かされて行為するかである。物語序盤に多いのは消極的動機だ。事件がおき、主人公は欠損状態に陥り、逃走する必要が出る。例を出せば「アルスラーン戦記」で、主人公は物語の開始直後に決定的な敗北を味わい、命からがら逃げ出す。「セットアップ」(2011 米)では、序盤で強盗に失敗し、主人公は追われる身になる。
また、積極的動機と消極的動機は、同時に利用することで強烈な動機を生み出しうる。先に挙げた「アルスラーン戦記」では、主人公は逃げ出すと同時に主人公は王国の復興を願い、「セットアップ」では裏切った仲間に復讐をしようとする。
②の直接的か間接的かという問題は、先に挙げた同期の仕方を指している。読者と主人公が同じ動機を持つか、それとも読者はメタ的な動機からその物語を消費するか。
先も説明したが、直接的な動機が王道であり、強い。
④これに関しては、よりよい動機とは個人的なものであり、かつ一般性を帯びると思われる。主人公にとって切実(個人的)な問題を読者と共有(一般性を持つ)しなければ、動機の植え付けとは言えない。
ここは割と重要な部分で、動機の植え付けとは問題意識の共有である。主人公が行為する際、読者自身もその行為に必要性や意義を感じなければならない。何が問題で、何故解決する必要や意義があるのか、それを読者に説明・共有する努力をしなければ、読者は「で?」と言って読むのを止めるだろう。
そのためにどうするか。読者がそれなりに納得いく動機に、個人的な体験に基づく背景を与えることだ。最初の同期の際は一般性を帯びた理由を用意し、その後個人的な背景を“物語上で”脚色してやるとスムーズになる。
そして“物語上で”という部分が、次の⑤の内容に繋がる。
⑤これは、決定的に物語を駆動させる動機が過去に発生しているか、物語の中で発生しているかの違いだ。僕はこれに関して、導入としては過去に発生した動機で物語を動かしてもいいが、どこかで決定的な動機として、読者の目の前で動機を発生させないと駄目だと思っている。遠い昔に発生した問題を今更になって解決しようと思うには相当の動機が必要だ。また、これはオチの部分にも関わってきて、物語に描かれる以前の事件をメインに据えると、設定の開陳をしただけで物語が終わりがちである。それは、欠損を回復して終わりということだ。物語は、それ以上を見せなければならない。
(過去の問題で上手く話を駆動させた映画が『スラムドッグミリオネア』がある)

まとめると、読者を主人公に強く同期させるには、今目の前で事件を起こし、問題を主人公個人のものとすると同時に目撃者たる読者の問題にもし、それを通じて同じ動機抱かせ直接的な動機にする、ということだ。またその際、動機は積極的・消極的の両面脚色することができる。そしてそれを行うのが、物語の25%の位置にある第一ターニングポイントだ。例えば、
愛する兄を殺された過去を持つ主人公が、その犯人を捜す。目の前で凶弾に沈んだ兄を、自分は見殺しにした。死体すら出なかった謎の事件に、5年後の今立ち向かう。

よりも、

愛していた兄が目の前で何者かの凶弾により殺された。なおも続く銃撃に心当たりはない。何故だと自問しながら、主人公は兄の死体を残しその場から命からがら逃げ出す。その夜、兄の死体を放置したことが気になり、現場に戻ると、そこは銃撃戦があったとは思えないほどまっさらで、そして兄の死体も消えているーー。
のほうが、面白そうじゃないですかね。兄が宝飾品つけててそれが云々とか、兄と主人公の仲良しエピソードとかも加えたいところ。

まとめ


動機の書き方についてはまだまだ深められるところがある。たとえば「内的・外的な動機」というのを今回盛り込もうとしたが諦めた。今後またまとめられたら、こうして書いていきたい。
また最近はほんとうに感情移入がマイブーム。面白い小説を書くためには感情移入が必要ですよー、ではなく、感情移入するためにストーリーが存在するのだ、くらいの勢いに思っています。また小説こつこつかけたらよい。

最後にハリウッド脚本術とかのリンク貼っときます。

ハリウッド脚本術―プロになるためのワークショップ101

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ハリウッド脚本術はまどろっこしい! という方にはこちらもおすすめ。

SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術

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今回は以上です。


(以下2/25日更新)

今回は以上としたけれど、良い導入の映画があったので挙げておく。

●ワンチャンス (2013 英)

ワン チャンス [Blu-ray]

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夢を抱いた青年が女の後押しを得て夢の舞台に立つ、というオープニングがかなりよい。ほんとに展開も早くかつ納得いくしのめり込むから、これは恋愛青春ものの教本になる映画だ。


メモ(3/29)
問題の特異性と一般性に関して。問題は、主人公らしく、かつ共感させなければならない。
ひとつの考え方として、問題は一般的、対策に個人が出る、というもの。問題は誰を読者層にするか、という問題でもある。
問題が主人公でなければならない理由は何か。主人公にとって切実であるかどうかだから。悩みの掘り下げが未熟だ、ということ。