親です。

読んだ本とかについて書いてます

2020.10に読んだ本とか

ほい、今月読んだ本です。感想は毎日つけてる日記から転載。

2020.10に読んだ本

『言葉ダイエット』橋口幸生

文章術的な本。けどまあ普通のこといってた。Web前提の時代になってどのように文章作法が変わったのか、みたいなことを知りたかったんだけど、まあこれまでの内容だったので、ふーんだった。

ハウルの動く城

宮崎駿の『ハウルの動く城』がすごい好きで何度も見てるんだけど、原作もあるやんと思って買ってしまった。
まあ正直途中で若干飽きたなと思うところもあったんだけど、原作は原作で愉快で、とくに7リーグ靴で歩くシーンが好き。一歩で10kmを歩いてしまう七リーグ靴を使って目的地まで歩くってだけなんだけど、勢いがすごい上に主人公がおばあちゃんだからよろけて余分に七リーグ歩いてしまい、戻ろうとするとまた余分に歩いてしまい...というやつ。まあ単純な話なんだけど、あらあらあら...って感じで、愛しい面白みがあった。(と言うことを妻に話したら「少女じゃん」と言われた、確かに)

『新・何がなんでも作家になりたい!』鈴木輝一郎

鈴木さんの小説講座をとることになり、著書を読んどけって話だったのでKindleで買えるものを選んで読んでいる。この本自体は業界本って感じで小説の書き方本ではない。まあなんか読みやすくてよかった。

『何がなんでもミステリー作家になりたい!』鈴木輝一郎

これも課題図書。いままで小説の書き方本はあほみたいに読んできたけど、この本はかなり作家の視点から書かれてて面白い。作家志望者への観察眼みたいなのがよくて、とくにおーと思ったのは、作家志望者はストーリーの作り込みについてはよく勉強するけどキャラクターの作り方についてはかなり甘い、ということ。これはほんとにその通り、キャラクターの作り方について書かれた本は相対的に少ない。おれもあんまり読んだことがない。なんでだろ?

『信長が宿敵 本願寺顕如鈴木輝一郎

もうほんとめちゃくちゃ上手くて、この講座とって良かったなと思った。講師が普段から言ってる内容と符合するところも多い。なにより救いなのは、これはわりと再現性のある技術だろうなと思わされることだ。調査してキャラクター詰めて書くみたいなのは、努力でなんとかなるところがある。
もうすこし小説自体の感想を書いておくと、古いものと新しいもの、父と子みたいなテーマを顕如と信長、顕如とその子・教如の関係性(など)に映しながら書いていた。自分のことを全然敬わない息子みたいなのは、たぶん歴史小説を読むような層には刺さるんだろうなあと思うし、こういう淘汰される側の視点みたいなのを(それはそれで問題でもあるが)不愉快にさせずに描くのは上手いなと思う。まあテーマを前面に出しすぎず、ちゃんと出来事を通じて書いてるからこういうことができるんだろうなと思う。
歴史ものは10年とかの期間の、重要な出来事を小説に起こすわけで、内容がとても濃くなるのも良いなと思う。『熱源』もそうだったけど、こういう内容を濃くする技術みたいなのがあるよなーと思う。一人称、短い期間の話でやってるケースがあれば知りたいなと思う。

『青蘭国後宮みがわり草紙』早見慎司

小説講座の課題図書だった。琉球をモデルにした架空の世界を舞台に王宮ものをやってる。読みやすかったなあというかんじ。

『殴り合う貴族たち』

藤原実資の『小右記』をもとに貴族社会の暴力事件をたくさん紹介してくれている。また単に事件を列挙しているのではなくその背景をわりと丁寧に解説してくれているので、なんというか、藤原実資事件ファイルみたいなかんじになってる。
良かったな〜と思うのは、こういうのを通じてまた『今昔物語』とかに触れる機会ができそうだということ。今昔とか、宇治拾遺とか、あと平家物語とかは俺にとって多少馴染みのあるもので、まあ下心を隠さず言えば、小説のネタにするための肥やしみたいにしていきたいので、うむ。
けどどうすればいいんだろうね、こういう貴族ばっかりの時代ってあんまり歴史小説として読んだことないな。王朝ものなんだろうけどいわゆる。天然痘の流行を書いた『火定』は面白かった。他にも何かないか探してみたい。

『三体』

序盤の文革のところでずっと読むの止めてたんだけど、オウビョウパートになってからはサスペンス味がぐんと増して、あとはまあ一気に読めた。『ハウルの動く城』は長々と一週間くらいかけて読んでいたけど、『三体』は3日くらいだった。ちなみに後者は前者の1.5倍の長さ。
こっからネタバレしながら感想書いていくけど、やっぱこう、読み味の違う面白さを組み合わせてやられている感じが良かったなと思う。文革のドラマと、ネットゲームのトンデモ感と、現在進行形のサスペンスと。あと全体的にスケールのデカい馬鹿らしさというか、あまりに大胆に嘘をつくとみんな信じてしまうみたいな感があった。偉人たちが集まって恒星の動きについて喧々轟々とやりあってるのとか、計算陣形とか、デカい船がスライスされるのとか。あとあのTEOにいた3人の体術娘たちはなんだったんだろう。

『ふくしま第一原発作業員日誌』

すごく良い本だった。タイトル通り、事故当時の2011年から2020年まで、原発とその周辺の状況をまとめてくれている。現場や避難区域の様子、高いストレスと放射線量、賃金や補償金をめぐる金の話、家族と離れ離れになりながら原発で作業にあたる作業員たちなど、いろんなことが書かれていたと思う。
読む中で気になったのは、なぜこれだけ厳しい環境でもあえて原発で働きたいと思うのか? ということ。それは立場によって様々だとは思うけど、ずっと原発固執していた地元作業員が原発での作業をやめてから語った「今は自分の人生を歩めています」というような言葉が、あー、と思わされた。自分の生活を完全に変えてしまった原発にたいして、単なる被害者という立場を取れなかったのかもしれないと思った。被害を受け止めるのは難しいことだ。もちろん、他にも福島や国のために働きたいと思ってという人とかもいる。
他にも色々とウオと思わされることはあった。ストレスで家族にきつくあたってしまい、そのことについて記者に泣きながらおれは狂ってるんだと打ち明ける作業員とか、離れ離れになったため幼い息子から懐かれずにいたが、原発の敷地内で捕まえたポケモンGOポケモンを見せたら懐かれた、以降ずっと被曝しながらポケモンを捕まえている...という話。あとまだ小さい子どもから原発で頑張ってきて、と言われていく勇気が持てたとか。最後のは将来子どもがそれを知ったら自責するだろうなと思う。

『隠れ町飛脚三十日屋』鷹山悠

ポプラ社の新人賞で奨励賞だかを取ってた作品。小説講座の課題図書で読んだ。
江戸時代後期の浅草あたりを舞台に、町飛脚(個人の郵便サービス)を営む主人公・静が、普通の町飛脚では送れないような曰く付きの手紙を送る、という話。その「送れない」というのが課題になっていて、どうにか送ることでお話がしまる。連作短編形式で四本入っていた。
今朝『ふくしま原発作業員日誌』を読み終えた時点で、今月はこれで終わりかなーと思ってたので、滑り込みでさらさら読めてしまって驚いた。けっこう軽くて、人情ものってかんじで、なんというか、演歌っぽいなと思った(ラノベがJ-POPなら、という意味で)。
こういう演歌みたいな小説は過去に『幕末ダウンタウン』を読んだことがあるくらいで、そしてあの小説を読んだときはなんか物足りないなと感じたんだけど、今回もちょっと物足りないなと思った。まあでもこの読みやすさはすごいなと思うので、トレードオフの関係なのかもしれん。
おれが書きたいのって(映画だけど)『ソウル・ステーション/パンデミック』みたいな、めちゃくちゃエンターテイメントなんだけど、背後にすごく社会的なテーマを背負ってるみたいなやつで、これは読みやすさとテーマの重たさを兼ね備えてるんだよな。おれは小説が下手くそなのでぜんぜんエンターテイメントもテーマもうまく書けないと思うんだけど、でもどうにかできるようになりたい、たくさん書こう、などと思いました。

2020.10に見た映画とか漫画とか

スティールボールラン

漫画。一巻だけ読んだ。11月にもうちょい買い足したい。やはりジョジョは面白い。

勇者のクズ

漫画。なんかこれの画像がよく回ってくるので読んだ。もともとWeb小説らしい。

タイムパラドクスゴーストライター

ジャンプ漫画。漫画家の漫画で、二巻打ち切り。ご都合主義な展開が多かったけど、絵が綺麗で面白かった。

あー今月映画見てないわ。そんなことある? 韓国ドラマはたくさん見た。『青春の記憶』とか『スタートアップ』とか。あとアニメだと『ドロヘドロ』をちょっとだけ見た。

2020.10に書いたもの

新人賞向け六万文字程度の作品

先々月くらいから書いてる。 小説講座で、新人賞送らないやつ書いても意味ないぞ、本気で書かないから、みたいに言われたため送ることにした。とりあえず11月中旬くらいまでに第一稿をやって、それから全体的に設定を詰める作業をし、再度書き直す予定。年末に完了させてWeb応募。
そこから次の作品を考えて、と言う感じ。次の作品はテーマだけは決まってて、絶望と信仰についてかく。労働小説かつ、青春小説みたいになればいいなと思う。まあ、どうなるか知らんけど。

最後に

今月は前半は小説をよく書いた。小説講座を受け始めて、ちゃんと仕事やるくらいの気持ちで書かなきゃダメだなと思い始めた。それに読書量自体も(冊数は)増えた。書きたい小説のテーマが定まったのもよかった。
来月もよく読みよく書いていきたい。以上!

2020.9月に読んだ本とか

お疲れ様です。今月読んだ本。

2020.9月に読んだ本

『熱源』川越宗一

ポーランドアイヌ研究者であるブロニスワフ・ピウスツキと、その研究者と交流があり南極探検隊にも参加したヤヨマネクフ(山辺安之助)を主人公に1870年代〜1940年代までの樺太・北海道を描いている。まあでもメインに描かれるのは日露戦争前後。当時、アイヌはもちろん日本に支配をうけていて、ポーランドもドイツ、オーストリア、ロシアに分割支配を受けていた。ここで軽く描かれるのはロシアによる支配で、母語であるポーランド語の使用を禁じられるなどの抑圧がある。
まあこういう背景からも分かるように、強国に支配される民族、みたいなのがテーマにある。支配を受けて同化政策をされながら、我々とはなんなのだろう、我々は消えていくのか? と考えている。
被支配者であるアイヌが「私たちとは誰なのか」を問う物語にたいして、和人であるわれわれが感情移入して読んでしまうということがけっこうやばいのではないかと思うんだけど、まあでも日本人による支配とかを背景化せずにちゃんと書いてはいるのでよいのかなと思う。以前『世界で一番ゴッホを描いた男』という映画を見たとき、主人公に感情移入してしまい、ほんらい彼らを抑圧しているはずの自分たちの立場を忘れてしまったことがあったけど、そういうふうにはならなかった。(こちらも面白いのでおすすめ、中盤で主人公が「ゴッホに出会って自分がどれだけあなたを尊敬しているのか伝える」という妄想をするシーンがうわあとなる。)
他の点についていうなら、全体的に文章とかキャラクターとかの安定感が高くてよかったなと思う。主人公、まあわりとこう熱意のあるキャラクターなんだけど、ふだんは冷静で、こういうキャラクター書けるのは使い回しが効いていいなと思う。おれもストックに入れときたい。

『滑走路』萩原慎一

非正規の人の短歌。狐火みたいなことを書いてんのかなと思ったら、すごい恋愛とか書いててへえと思った。狐火の新譜は良かった。

『かわいい海とかわいくない海 end.』瀬戸夏子

これ教えてもらって購入。詩っぽいな、という感じ。

『あそこ』望月裕二郎

なんか坂をくだったら幕府を開こうみたいな短歌が良かった。

『コンビニに生まれかわってしまっても』西村曜

めちゃくちゃ面白くて短歌こんな面白くていいのかなって思った。

『きみを嫌いな奴はクズだよ』木下龍也

良いタイトル。

『はじめての短歌』穂村弘

これめちゃ面白い。「生きのびる」ためのことばと「生きる」ためのことばという観点で短歌について解説している。簡単に言うと生きのびるためのことばとは解釈の余地が少なくて会社とか社会で求められることばや態度。生きるためのことばはどうでもよくて称賛されたりするわけでもないことばや態度。
で、「生きのびる」は社会で重要なこととか仕組みとかそういうことなんだけど、おれが小説でやりたいことのおおきなふたつに社会性と脚本術があり、これがもろそれじゃんとなった。そういうときにおれが短歌をかく意味っておおきいんじゃないかなとおもった。

青野くんに触りたいから死にたい椎名うみ

漫画。めちゃくちゃに面白い。現代ラブコメなんだけど民話っぽいホラー演出が入ってる。ドラマの重ねかたが凄くて、主人公の過去話とかサブキャラクターの過去話とか、民話だとか、進行形の関係性だとか、いろんなのを並行して描いて、かつそこにホラー演出まで挟んで、だれかに全部受け止められたい的な青春の恋愛とホラーが撮り合わされててこの鳥肌どっち!? みたいになり最高だった。この感情ははじめてだった。すごい。

その他

ワールドトリガーの8巻まで、ゴールデンカムイの最新刊、進撃の巨人の最新刊を読んだ。ゴールデンカムイは本当にすき。進撃はほんと話がわからなくなってきた。ワートリは続き買おうかなと今おもってる。

2020.9月に見た映画

『グレート・ハック』『監視資本主義』Netflix

どちらもSNSがユーザーを依存させ、同時に広告で売り上げることについて描いた映画。前者は特にFacebookケンブリッジアナリティカが2016年アメリカ大統領選挙で行ったこと扱い、後者はもっと広い内容を扱っている。面白かった。

風立ちぬ

はやりハヤオはすごいなあという気持ちがあるのと、ここにきて初めて体制側の男性を描いており、かわいいおばあちゃんなども出なかったので少し残念だなあとも思う。 千と千尋もポニョもハウルもおばあちゃんがよくかけていて良いなと思う。あの身勝手な感じとかが凄く良い。だから好き。

ハウルの動く城

三回目くらい? また見た。ハウルがかっこいいので見たくなって見た。

2020.9月に書いたもの

勇者全員殺す

https://kakuyomu.jp/works/1177354054921973086

まだまだ色々と未定なんですが、第一章を書き終えました。この調子だと5万文字くらいになるとおもう。これ面白いぞと思って書き始めるときと、やっぱファンタジー辛いわと思って手を止めるときが交互にやってきてなかなかかけない。でも多分書きます。

来月の目標

積読をいくつか消費したいなと思ってます。
あと『勇者全員殺す』をどうにかする。やっと三人称に慣れてきたような気がする。これ書き終わったら氷海のヴェルヌ(めちゃ面白いWebの小説)二次創作をやってみたい、作者の人が許せば。。

以上。

2020.8月によんだ本とか

お疲れ様です。今月読んだ本。

2020.8月に読んだ本

『ホワイトラビット』

伊坂幸太郎らしい話だな〜〜と思ったことを覚えている。悪役がすごくサラリーマンっぽいのとか。そういう彼らしい世界の捉え方、みたいなのが良いよなと思う。

『韓国とキリスト教 いかにして国家的宗教になりえたか』

スマホに書いてあったメモをそのまま載せてしまうけど、

『韓国とキリスト教 いかにして国家的宗教になりえたか』を読んだ。
もともとエリート層に受け入れられていて、その後日本の統治時代に神社参詣を強制され、そこで民族的な意識と繋がったとかが面白かった。また宣教師による布教ではなく、国王が受洗され、そのご西洋近代主義を勉強するためにエリートが書籍から学んでいったというのも面白かった。
キリスト教朝鮮半島の近代化に与えた影響はかなり大きく、それによってエリート層がキリスト教信者になっていく。日本統治時代に抗日運動の中心としてプロテスタントが活躍する、そして日本の政策に弱腰だったカトリックはその後立場を弱めていく。
戦後もそれまでの日本への姿勢が原因で内部分裂。そのため個人主義的な教会が増える。個人主義的な教会が増える背景にはそもそも韓国のシャーマニズムもある。神を信仰するのではなく気に入った司祭のところに通う。そこからカルト的になるケースもある。
同時にプロテスタント教会が企業的に世襲、拝金に奔って収支を報告しないケースもあり、教会の独立性が高い。ここもカルト的になりうる要因。

『火定』

Twitterにアップした内容だけど、下記のような感想。

『火定』を読んだ。平安時代天然痘についての小説。歴史物を書く上でどれくらいの時代知識が必要なのか? というのが参考になったのと、あとはお話の作り方かなあ。導入も結構良かった。とくに諸男の導入。 主人公はふたりで、名代と諸男。ふたりが薬の買い付けで争う場面からはいる。序盤は名代が典薬寮(病院みたいなもん)を辞めたいというベースの問題が描かれる。
(ベースの問題と課題、葛藤が微妙に役割として違ってくる気がする。どれがどういう役割でどういう包含関係でどこまでが必要になるのか、というのを整理したい。ベースの問題はページを進めさせるのに必要で、半分演出的な問題になる。葛藤はそれに似ているが、もうちょい決断を求められるイメージ、けどあんまり違いがない。課題というと、プロットポイント的なイメージ。ベースとそうでないか、という整理をしてたんだな。それならベースのほうは演出だから課題だけでことたりはしそう。けどもちろんベースの問題として、サブテキストを利用するなどして課題を描き続けるのはわりとセオリーになりそう。)
名代のパートでトラブルの主である諸男について描き、そのあと諸男パート。諸男は前日譚のある男で、さきに名代パートで注意を引いておいたから前日譚を描くということができる。
あとずっと気になってることとして、プロットポイント1で登場人物が取り組む課題が明確になるまでをどう繋ぐのか? という問題があって、『火定』では第二幕以降の課題と接続しやすいベースの問題を設定として与えておくという手法をとっていた。具体的には、火定の主人公・名代は「パンデミックの中で命をかけて人を救うか、もしくは自分一人が助かる行動を取る(辞職して逃げる)か」の二択を迫られているんだけど、第一幕ですでに「中央官吏としての出世を目指していたが、出世の見込めない医療現場に配属されてしまう(辞職したい)」という葛藤を抱えている。
これは辞職するという行動のレベルで接続可能であり、ストーリーが明確になるまでのつなぎの課題として機能する。
これ、「契機事件(BS2におけるきっかけ)」ではダメなの? って思われるがかとも思うんだけど、おれが言ってるのは1ページ目から有効な課題のこと。契機事件だとセットアップが全体の1割くらいを占めるし、それまで主人公の日常的みたいなのを見せるのがだるいなと思っている。そのため、設定から持ってこれるベースの問題はひとつの解決策だなと思ってる。
あとこれはまた他の備忘録だけど、物語を作る上で、登場人物の課題をどう更新させていくかというのは一つの論点で、それがうまくできるとプロットポイントの多い、驚かされる、そしてテーマとしても考え尽くされたストーリーになる。最近だと『ヴィンランド・サガ』とかが良かった。
まあそんなかんじ。

『サブテキストで書く脚本術』

これは記事書いたので読んで欲しい。

物語を多層的に描く手法——『サブテキストで書く脚本術』の感想

まあ、勉強になりました。

『引きこもり令嬢は話のわかる聖獣番』1巻

ちょっと悪役令嬢ものというか、女性向けラノベというものをいくつか読もうと思って購入。面白かった。 ほっこりしていて敵キャラとかもいないんだけど、序盤のスピード感ありコメディタッチの演出がとってもよかったなあと思う。

フランス語の読み方の本

たらたらと読んだ。明日から文法。

『普通の人でいいのに』

これツイッターでバズってたやつ。 『Joker』っぽい話だなと思う。ジョーカーは共感させにきたけど、これは短い漫画だからなのか共感させず、嫌な感じで読ませている。タイトルもいいよね、婚活でよく聞くセリフである「普通の人でいいのに」を使って、何者にも成れない自分というテーマを描いている。

ハンター×ハンター』14〜18巻(G・I編)

風邪の中で。唐突に読みたくなったので。5巻とかで終わるんだってびっくりした。ハンターは話のまとめ方がうまいよなあと思う。

ヴィンランド・サガ』全巻

3巻無料で、3巻まではあんまり面白くなかったんだけど、4巻目からぐっと面白くなった。そして全部買った。
そういうふうに広がっていくんだ、というテーマの取り方が印象的だった。

『破滅フラグしかない乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった...』1〜2巻

こちらも悪役令嬢もの。漫画があったので読んだ。
これもめっちゃ面白かった。朴念仁な主人公って男性向けラノベではやり尽くされた感じあるけど、女性向けでやってもすごいいいんだなと思う。いやらしさがなくてすっきり読めるしね。

2020.8月に読んだ映画

千と千尋の神隠し

何度みたかわからん。疲れたときいつもこれ見てる。

『三度目の殺人』

是枝?監督のやつ。女性の書き方がアレなの除けば面白かった。

2020.8月に書いた小説

いま書いてます。エンタメに振ったやつ。なろうっぽい、ゲームみたいな世界観のやつ。2万文字とかでまとめられるといいんだけど。

今月はあんまりtwitterやらなかったのが一番の成果だと思う。あとTOEICのリスニングで400点くらい取れて、リーディングも同じくらいなら800点。渡航前は合計345点だったからめっちゃ成長した(ただTOEICできても英語は喋れないってやつ本当なんだなとも思った)。それと妻の学校が再開して日中育児、夜に仕事のサイクルが始まったり。他にもいろいろあった気がするが、まあ忘れた。

以上。

物語を多層的に描く手法——『サブテキストで書く脚本術』の感想

サブテキストで書く脚本術-映画の行間には何が潜んでいるのか-リンダ・シーガー』を読んだ。

最初からこんなこと書くのも失礼なんだけど、本書、読みづらくって一回離脱した。サブテキストについておもったことを気ままに書いた感じで、何が重要な概念であるとかが全く整理されていない。

ただサブテキストに目をつけたのは本当に意義深いことだとおもう。おかげで自分もこうしてまとめをできているわけだし。

今回はその内容をさらっと紹介したのち、脚本術におけるサブテキストの立ち位置を書く。


『サブテキストで書く脚本術』のまとめ

1. サブテキスト——定義とその広がり

サブテキストの定義について。 サブテキストとは、言葉や行動に現れていないが意図されたもののこと。 それが現実や作品にどういう形で現れるのか、具体例を交えて書かれている。

2. 言葉を通してサブテキストを表現する——登場人物の情報と経歴

登場人物のどういった情報がサブテキストで表現可能かについて書かれている。表現対象の話。 例として出てきたのは、

  1. 技能、才能、能力についてのメタ情報
  2. どれだけお金を持っているかについてのメタ情報
  3. 宗教を持つ/持たないとはどういうことかについてのメタ情報
  4. 真の欲望、欲求、目標を示唆するサブテキスト
  5. 影の部分を示すサブテキスト
  6. 否定、態度、隠蔽を示すサブテキスト

後ろ暗いものやメタ情報はテキストに直接出てこない。そのためサブテキストとして言葉の節々に現れることになる。

3. 言葉によってサブテキストを表現する技術

2は表現対象の話だったけど、3は表現技法の話。比喩とかダブルミーミングとか、いろんな手法でどう複数の文脈を生むか? というのをやってる。文章技法のレベルでサブテキストを生むという発想が案外なかったので参考になった。 列挙していくと、

  1. 直喩
    「〜のようだ」(直喩)を使う。テキストとは別にイメージが生まれる、と書かれている。 だがそれよりも、そういう比喩が話者のその物事の捉え方を示すという点でサブテキストを使えてるんだと思う。
  2. ほのめかして、明かす
    一度サブテキストの中に込めた真意を改めて言い直す。
  3. 中断して暗示する
    「ば——やめろ」みたいな、一回止めることで真意がありますよと示す。
  4. サブテキストを間違えて解釈する
    サブテキストのある状況を誤って解釈し、正しい解釈を提示し直す。遠藤周作っぽいな。
  5. 意味が響き合うように正しい言葉を選ぶ
    これも話者の解釈を伝えている。話者がどんな認識でいるか、それが出てくる言葉を使う。
  6. 同じ言葉を繰り返す
    一つの言葉を何度も使うことで、そこに辞書的な意味以上の意味を込める。
  7. ぼかし表現
    はっきりいうと角が立つことをぼかして示す。
  8. 裏に別の意味を持たせる
    別の話題全体が何かの比喩みたいになってるやつ。いきなり小鳥の話をしはじめたと思ったらそれを自分とダブらせているみたいなやつ。
  9. 裏に性的な意味を持たせる
    別の話題を使ってセックスについて話す。
  10. ダブルミーミング
    特定の言葉に複数の意味を持たせる。
  11. ト書きを選ぶ
    ト書きで小道具とかを指定し、そこに意味を持たせる。
  12. 名前を選ぶ
    そのキャラクターをしめすような名前。
  13. タイトルを通じてメタファーを作り出す
    タイトルに意味を込める。

4. 身振りや行動を通してサブテキストを表現する

ここも前章と同じく、身振りや行動でサブテキストを表現する細かなパターンについて書いている。列挙すると、

  1. ボディランゲージ
  2. リズムとペース
  3. 習慣的な振る舞い

また、キャラクターの決断や目標に絡むサブテキストについても触れられている。これはかなり重要な概念なので後ほどちゃんとした形で触れる。

5. イメージとメタファーを通してサブテキストを作り出す

セリフとかアクション以外にも、小物やらに意味を持たせる方法がある。列挙すると、

  1. 季節、天候、時間帯
  2. 映像、画像
  3. 小道具
  4. 登場人物をメタファーを通じて表す

6. ジャンルを通してサブテキストを表現する

特定のジャンルでよく扱われるサブテキストについて書かれている。

  1. ホラー
    文明批判のサブテキスト
  2. スポーツ
    勝ち負けのサブテキスト
  3. コメディ
    危険な行為をコメディ的な出来事でしかないと読ませる。 (というのがなぜサブテキストなのかは理解できなかった。)
  4. SF
    別世界を通して現実を描く。

7. 脚本家アルヴィン・サージェント、サブテキストに思いを巡らす

エッセイ。特に意味のある内容ではない。


サブテキストについての考察

内容の紹介は以上。

ここからは『サブテキスト〜』の内容を脚本術の文脈からまとめ直す。

目次は以下。

  1. サブテキストの定義
  2. 代表的なサブテキスト:中心的な問いのサブテキスト
  3. これから:サブテキストの広がり

1. サブテキストの定義

はじめにこの記事におけるサブテキストの定義と、この記事で議論するテーマついて書いておく。

『サブテキスト〜』ではサブテキストを「言葉と行動の表面から奥へと潜っていったところで煮えたぎっている真の意味」と書いていたが、今回議論するにあたり、その効用の面から下記の通り定義したいと思う。

サブテキストとはテキストに直接書かれた内容とは別に、ほかの文脈から暗黙のうちに与えられる意味である。それがもうひとつのテキストであるサブテキストだ。

ここではサブテキストの多層的な意味づけという技法について考えたい。サブテキストと簡単に呼んでしまっているが、手法自体はいろんな方法がある。全てを解説するには時間がないので、今回は特に代表的なサブテキストの手法でについて脚本術上の位置づけを含めて書き、それ以外の手法については最後に軽く触れる程度とする。

(注:用語について。「サブテキストのあるテキスト」という言葉は可読性をめちゃ損なうので、今後は単にサブテキスト、もしくは多層性のあるテキストと呼ぶことにする。適宜読みかえてほしい)

2. 代表的なサブテキスト;問いのサブテキスト

読者に意味の多層性を感じさせるものには色々とあるが、その中でも代表的なのが問いのサブテキストだと思う。これは既存の脚本術の体系で論じることができる。

問いのサブテキストの説明をする前に、脚本術における問いと答えの概念について説明する。

ストーリーの基本要素は出来事だが、その出来事を構成するのがアクションとリアクションだ。登場人物が何かを期待してアクションし、しかし期待とギャップのあるリアクションが返ってくるため、さらなるアクションが求められる。こうして出来事は連鎖し、ストーリーを編み上げる。このアクションとリアクションのペアのことを出来事と呼ぶ。この内容は『ストーリー』(ロバート・マッキー)に詳しい。

また出来事の連鎖はフラクタル構造をとっていて、出来事より大きなシーンだとか幕だとかお話全体だとかについても同じようなことが言える。

特にお話全体の構成については三幕構成と呼ばれる。内容は、まず第一幕で中心的な問題を提起し、第二幕で葛藤し、第三幕でそれが解決するというもの。

出来事は登場人物が動機をもち、行動し、その行動によって新たな動機を抱くことの繰り返しである。そして全体構成は第一幕で登場人物が物語を進める動機を得て、第三幕で解決する。出来事も全体構成も問いがたち解決される点で共通している。

物語においてこの問いと答えの要素は重要で、至る所にある。

そしてこの問いを利用したサブテキストが「問いのサブテキスト」になる。物語の中心的な問題や、主人公が抱える内面的な問題、そして特定シーンにおける目的など、物語中にはたくさんの問題がある。その問いが意識されているにせよされていないにせよ、主人公の行動に影響を及ぼし、読者にはその影響が見て取れるようなケースが問いのサブテキストである。

例をいくつか見てみよう。

主人公はあっけらかんとした性格。仲良くなりたい相手とのデートで失敗をし、それをとっさに隠してしまう。

隠すという行為にはサブテキストがある。デートを完璧にこなすという目的があるため、普段はしない隠蔽をしているのである。

離婚した父と意気揚々とハイキングに出かける主人公。森で聞いた鳥の鳴き声に父はカッコウだというが、姿が見えるとどう見てもそれはカラスだった。雨に打たれホテルに逃げ込むと、父はホテルの従業員を口説き始める。翌朝母に迎えに来てもらった主人公は経緯を話し、カッコウはカラスだったんだ、と告げる。
(『セックス・エデュケーション』)

これは主人公の「父を尊敬したいが、父はクソ野郎かもしれない」という問題が背景にある。序盤は尊敬したいという気持ちから意気揚々とし、その後の失敗のシーンは主人公の恐れが現実化する。カッコウはカラスだった、というセリフはそのまま父への想いを示している。背景にある問題があるからこそ活きてくるシーンである。

またこのサブテキストの重要な点は、サブテキストによって問いが強化されるということである。隠すという行為を通して主人公の想いの強さが理解できるし、カッコウはカラスだったというセリフが主人公の落胆を伝える。

つまりサブテキストのあるテキストは答えの一種であり、サブテキストは問いを反映する。答えに問いを反映させることで問いは強化されるというわけだ。

物語は問題がその解決を求め、解決が次の問題を誘発することで連鎖していく。このお互いがお互いを作り出す構造のなかで、問いのサブテキストも理解することができる。

3. サブテキストの豊富な実例

上で定義したように、重要なのは複数の意味・文脈をテキストに載せられることである。その手法は様々である。

  1. 中心的な問いのサブテキスト
    中心的な問い(例えば世界の滅亡を防ぐとか)が背景にあるサブテキスト。焦りを描いたりすれば中心的な問いの重大さが分かったりする。
  2. キャラクターのアークを示すサブテキスト
    登場人物の問題(例えば孤独感とか)が背景にあるサブテキスト。人を求める行動を繰り返せば登場人物の抱える問題で意味づけを行える。
  3. 社会的文脈のサブテキスト
    現実世界の社会的な問題(環境問題とか)を背景にするサブテキスト。物語中だけの問題ではないと示せば別の文脈がのる。
  4. 交錯するストーリーラインのサブテキスト
    物語の中で並行的に扱われる問題が別の問題に現れるサブテキスト。群像劇などによくあるケース。別の問題が影響する様を書けば、複数の文脈からテキストを意味づけできる。
  5. 世界観を表現するサブテキスト
    物語の世界観を示すサブテキスト。
  6. テーマを表すサブテキスト
    物語を統一するテーマを利用したサブテキスト。特定のテーマについて多角的に描くとき、別の視点が意識されて複数の文脈が乗る。
  7. パロディ・オマージュ
    別作品の模倣。これも別の意味が乗っているのでサブテキストの一種だと数えられる。
  8. 象徴性のサブテキスト
    モチーフを利用したサブテキスト。すでに出てきていたモチーフが、別の文脈を引き入れる。
  9. シーンの目的に対するサブテキスト
    シーンの目的を示すサブテキスト。そのシーン限りの目的が行動に影響する。

他にも色々ありそうだが、ぱっと思いつくのはこれくらい。

これらのサブテキストは明確に切り分けられていない。同時に効果をはっきしたり、組み合わせて何層もの意味づけがなされることもある。

4. その他の論点

以下はメモ。もうちょい別の論点から整理もできそう。

  1. サブテキストの手法
  2. サブテキストで描くべき対象

5. ほかの書籍でのサブテキストの扱い

  1. 『ストラクチャーから書く小説再入門』 『ストラクチャーから書く小説再入門』ではキャラクターの葛藤を描く際のテクニックとしてサブテキストが紹介されている。葛藤する対象はもちろんキャラクターの抱える問題なので、これは問いのサブテキストについての記述といえる。

とりあえず以上。

深大寺恋愛小説賞に応募した

概要

深大寺恋愛小説賞

というのに応募した。2,500文字くらいの掌編を書いた。本文は載せられないけど、あらすじを書いておくと、

おれとカズキは看護科に通うたったふたりの男子生徒で、ふたりが親友になるのは運命のようなものだった。けれどおれはカズキにある隠し事をしている。それはおれが同性愛者で、カズキに好意を抱いているということ。ただ、それを打ち明けるより先にカズキには彼女ができる。
親友としてカズキの恋愛相談を受け続け、ときはすぎる。カズキが結婚を考えていると言ったおりに、おれは精一杯の形で隠し事を伝える。「おれの一番信頼しているのはお前だ」その曖昧な言葉に、カズキは知っているよと返す。

以下で反省する。

反省点

時間もないしセイヤと送ってしまったが、反省できる点がいくつか。

  1. まとまりのなさ
    とっ散らかってて統一感がない気がする。モチーフを統一させた方が良かったかも。タバコがいらなかった気がする。
  2. 同性愛を扱うこと、勉強のできてなさ
    かなり安直に書いてしまった気がする。丁寧に書かないとダメだなと思っていくつか記事を読んだが、簡単に書いて良いものだったのかと思う。
    多分今後も同性愛は扱うと思うのでいろいろと読んでいきたい。
  3. 文章が荒れている
    これは書いてないからあたりまえ。毎月とか言わずに毎週書いた方がいいんだろうな。なんつーか毎日朝に一時間を小説に使うとか考えたけど、ただ、それでできんのかなあみたいに思う。悩んで終わりそう。
    今回みたいに2,500文字でがっと書くのは、プロット書かなくても良い。サッと書いて自分の中にある全体像を把握して、そこから物語の形を探っていけばいい。けどもうちょっと長い、1日とかで書けないお話になると全然全体像が掴めずに書けない。掴めてない中でどんどん書いていくのは結構きつい気がするから。 ここの書き方なんだよな。なんかまあ誰だって掌編なんてかけると思うんですけど、この書き方はそこそこ気に入っていて、そういう書き方でもう少し長いお話を書けたら楽しいだろうなと思う。
    一方で、この掌編くらいの密度で、これを長編のシーンとして書いていくってのも良いなと思う。いろんないいなを思ってる。
  4. 演出のカードが少ない
    少ない。あと下手。
  5. 自分にとって意味のあるテーマを扱えていない
    今回は「一番好きな人にする隠し事」というテーマでやったんだけど、これがまあ、そこそこ俺にとって意味のあるテーマではあるけど、こう、切実さが伝わんないなと思った。
    本来このテーマは相手との利害関係があって理解してもらえない、ということなんだけど、今回の話ではそれを入れられなかった。切実ではない。
  6. 手を抜いたなというシーンが明確にある
    ありました。
    カズキの恋愛相談シーンとか、土産物のシーンとか。これ全部のシーン納得できるもの描かないと賞取るとか無理なんだと思うけど、どうすれば納得できる演出をやれるんだろうな。
  7. タイトルを適当にやった
    花言葉使っちゃった。八つ目の大罪。来世はファミチキ

良かったのは

  1. ワンシーンで終わらせなかった
    最初はワンシーンで終わらせるしかないかなと思ってたんだけど、そこから構成を立て直していくつかのシーンで構成できたのは良かった。
  2. いくつかのドラマを並行させられた
    主人公のライン、がんと告知、あんずの話
  3. 書けた
    月一の記録がのびた。良いことだ。
  4. 土地のことをたくさん調べられた
    これは驚くんだけど、あるテーマを決めてから土地について調べるとそのテーマにあったことがどんどん出てくる、みたいなのがあって面白い。
  5. そこそこテーマとしてまとめられた
    まあそこそこだけど。「好きな人にする隠し事」「臆病な愛」

書き方について

書き方について、一万文字以下のもので最近よく「舞台をつめる」というやり方をとっている。

最初はテーマ設定からなんだけど、テーマを設定したら次に舞台を設定して、そこをgoogle mapとかで見て、どんな土地なのか、近くに面白い施設があるか、大学があるか、大学があるならどんな学科があるのかみたいなことを考える。テーマのことも考えつつで良いモチーフを探して、扱えそうなキャラクターも出して、書いていく。街に意味を持たせて、その街のものを使って話を構成する。

で、これはまあパズルみたいな感じで楽しいんだよな。面白いかは別問題だけど、統一感がでる。

なんというか、文章をかくとき、主人公が曖昧な世界に生きているとおれはかなり書けなくなってしまう。なので、具体的な土地を設定してどんなルートで帰宅してどのコンビニに入って何を買うのかってのを考える。そこが分かってないと、書くこと自体が苦しくなる。

主人公の生きる世界が分かってるととりあえず文章はかけるから、テーマとざっくりの流れを決めてザーッと書いて、それから外面的な問題を考え出したり、サブプロットを入れたり、テーマにあうモチーフを探してきて入れ込んだり、そういう調整をする。

上でも書いたけど、これをもっと長いお話でもやりたい。鉄腕は8,000文字でこれをやってて、多少いい感じに書けた。

これ、二万文字とかになると構成を意識して最初から書いてしまって、そうするとこうスカスカのシーンができる。そのシーンを埋めるがおれはかなり苦痛。物語に必要なシーンを先に考えて、一通り書いて、それから構成するなら多少良いが。

プロットの段階で物語を掴んで計画を立てる、というのがおれにはまだ難しいみたいだ。できたらいいんだけど。

ちょっと眠たいのでここまで。深夜に文章書くと、まだ考えられるなと思っても考えたくなくなるからよくない。けど深夜じゃないと書く時間がない。やだね。

最後に。関係ないんだけど、最近菓子パンを全く食べてなくて、カナダにきて良かったなって思います。夜中に腹減ってもりんごくらいしか食べられない。健康的。以上。

2020.7月に読んだ本(など)

お疲れ様です。7月に読んだ本とか、映画とか、漫画とか、あと書いた小説とかの話です。

2020.7月に読んだ本

平家物語

やっと読み終わった。1ヶ月くらいかけて読んでいた。 エピソードの集積なので細々とした感想が多かった。その感想はツイッターにまとめた。

mobile.twitter.com

(群青にサイレンの感想のように思えるけどこれアカウント名なのでリンク踏むとちゃんと連ツイで平家物語の感想やってます。)

あとこういう日本の古典みたいなのを通して読むのが久しぶりだったので、まあ教養として読んでよかったなとは思った。能の元ネタとかにもなってるらしいので、もし今後能をみるような機会に恵まれたら楽しめるなと思う。日本に一時帰国した時とかに見れたらいいな。

一時帰国、行って帰ってで100万円以上かかるから多分そんな機会はないと思うんだけど(と言いつつ健康診断とか受けに帰らないといけない気もする、カナダで受けれればいいんだけど、実際どうすればいいんだろう)、帰れるなら一週間くらい帰って日本でやり残した〜〜と思っていることをやりたい。

世界系エンタメ

これも感想を記事にした。

『〈面白さ〉の研究 世界観エンタメはなぜブームを生むのか』都留泰作 を読んだ - 親です。

世界観エンタメ、というくくりで何かを作ろうというふうには思わないけど、世界観の構築だとか設定をつめるときに考えたいことがたくさん書いてあって面白かった。設定周りについて普段あんまり考えないからありがたかった。

群青にサイレン

四連休に読んだ。これも感想を記事にした。

『群青にサイレン』が面白い - 親です。

こういう感じの作品が俺は大好きで、登場人物の間に走る関係性について延々書いているみたいなものを自分も書きたいなとよく思う。

2020.7月に観た映画

ジブリ映画

カリオストロの城』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』『天空の城ラピュタ』を観た。最後まで観てないけど、ぽんぽこ、アリエッティ 、魔女宅も観た。

宮崎駿がこんなに普遍的なものを描ける作家だとは思ってなくて、確かにこれが世界で評価されるのも納得だなと思った。特にもののけ姫千と千尋、ポニョあたりがすごくて、まあ東アジアを描かせると(自分みたいに日本を離れてしまった人にとっては尚更)何かアイデンティティの原液みたいに感じられるんだろうなと思う。

千と千尋は二回観た。

2020.7月に書いた小説

今月は書けませんでした。

中編を諦めてからの2ヶ月は、短いお話を毎月一本ずつかけていたのだけど、今月はもうちょっと凝ったことをしたいなと思っていろいろとプロットをこねくり回していたら終わってしまった。手癖でかけるお話もいいんだけど(書かないよりは)、けど成長もないので頑張ってる。

やりたいのは構成を考えたもの。複数のドラマのラインが走っているような話。気を抜くと長くなってしまうから、うんうん悩みながらプロットを書いている。そろそろ書き出せるといいんだけど。

小説書くたびに文章が荒れてんなあと頭を抱えるんだが、月一程度でしか書いてなければそりゃあ文章も荒れるよなと思った。雑感。¥

今月は以上。今月もあんまり読まなかったな。寝る前に1時間くらいだらだらとしてしまうので、そこで本を読めるといいなと思う。あとプロット作業自体がだらだらしてる。日中は暇があると英語のリスニングをやってるので、これを3ヶ月くらい続けられるといいなと思っている。

追記

深大寺恋愛短編小説 深大寺恋物語、という短編の賞がある。

深大寺恋愛短編小説 深大寺恋物語 公式ホームページ

上限4,000文字なんだけど実際は40×20の用紙に5枚までなので3000文字とか書いたら文体によっては上限を超えてしまう。なので短編っていうかもうショートショートの賞なんだけど、これに出した。

締め切りの4日前? とかに妻が教えてくれて、書けそうだなと思ったからそこから書いてギリギリに提出した。とりあえず7月も書けてよかったな〜って感じです。

『群青にサイレン』が面白い

お疲れ様です。ネタバレありありで漫画の感想書くので嫌な人ははよ『群青にサイレン』買ってから以下読んでください。ジャンプ+からも読める。

ちょっとまあBL的に俺が読んでるので、そういう解釈したくない人はこの記事を読まないほうがいいかも。

『群青にサイレン』桃栗みかん

群青にサイレン - Amazon

群青にサイレン - ジャンプ+

が面白い。ジャンプ+で『怪獣8号』読も〜って思ってたら目に入ったので読んだんだが、めっちゃ面白かった。作者は『いちご100%』の河下水希で、桃栗みかんというのは(多分)少女漫画の方で書くときの別名義。

あらすじを書くと、

小学校の野球部で修二はエースだった。ただ、いとこの空が越してくると、なんでもできる空に自分のアイデンティティと言えるものを全て奪われてしまう。中学から空はイギリスに留学したものの、修二は敗北感を抱えながら生きていた。
高校で修二と空は再会する。敗北感を感じる日々が始まるのかと恐れる修二だったが、身長の低い空をみて、今なら野球で勝てると思い、空と一緒に野球部に入部する。

球漫画です、しかし心理描写があ〜〜〜〜〜〜うまい〜〜〜〜〜という感じ。この心理描写の妙はストーリーラインにも現れている。ひねくれた動機だけどすごくしっくりくる。

で、この後また主人公が空にピッチャーの座を奪われてしまうのとか、主人公が過去の事件のせいでイップスになってるのとか、こういうトラウマの作り方が上手だなあと思う。あとキャッチャーとして空の球を受けることへの抵抗感をベースにして描いていて、こういうベースの感情を作って物語を進めるというのも上手。

ベースに負の感情を持ってくるのって例えばゾンビものとかがその類型で、常に状況が危機みたいな手法がよくみられる。今回は主人公が敗北感を感じ続けるというもので、これは結構読者にストレスかかるんだけど、それ一辺倒というわけでもないし、周囲のキャラクターが明るいからなのか読めるな〜〜と思う。まあ絵がばちくそうまいってのもあるんだろうけど。

いやしかしね、めっちゃ造形かわいいんすよ空くん、そんで序盤は修二のこと大好き〜〜〜みたいな感じできてるんだけど修二は表面上は取り合ってるが内心めちゃくちゃ空が嫌いみたいな。で、ずっと優しくできないんすよ空に。キャッチャーってピッチャーをどう盛り立てるかというのもひとつの仕事だからそういうことやらないといけないんだけど、表面的にできるようになってもやっぱ内心は嫌ってるみたいなのとか、もうとにかくこういう社会的な振る舞いを書くのが上手だなあとも思っってですね。。

もう本当、あらま...みたいなシーンが多いんですよね。かわいいね、みんなね、本当ね...。釘崎の好きな食べ物がグミってのもね、なんかヤバイっすね...。それ守屋の乳首の暗喩か...?

『群青にサイレン』の強み

なんか普通にイイネ...というだけのブログになってしまいそうだったんだけど、当初筆をとった動機は本作のどこが良いのか真剣に考えたいなというものでした。なのでここからそれを書く。

  1. 関係性のおおさ
    主人公—空、主人公—母、主人公—リトルの監督、主人公—父、主人公—守屋とかまあそんな感じで、複数の関係性とドラマを配置しているのは(基本中の基本なんだけど)良いなあと思う。巻末おまけのキャラクター紹介でも、主人公との関係性をきっかけに何人かのキャラクターが生まれたりしていてなるほどなと思った。
    また本作の魅力というお題からはずれるが、こういう関係性を作るときに、過去の出来事を持ってきて関係性を作るのと、現在のふたりを描いて関係性を作る方法のふたつが当然あるわけだけど、このふたつの作劇的なやり方の違いみたいなのに興味がある。(というのは、俺は割とキャラクターの抱えた過去のトラウマを話のピークに持ってきてしまう癖があって、しかしそうではなくて現在の話を話のピークに持ってきたいなあと思う。そのため後者のやり方を知りたい)
    例えば今作の兼子先輩と鈴木先輩の関係性は過去の出来事がメイン(?)。これはストーリーラインにあまり関係なく過去の出来事が語られる(もちろん入れられる場所とか、あと効果的な挿入ポイントというのはあるんだが、物理的に挟めないエピソードみたいなのとはまた違った制約になる)。
    対して修二と空の話はもちろん過去話もあるが現在進行形のストーリーとして扱われていく。
    まあ現在のドラマで話を作ろうとすると、主人公にとってどんな意味のある出来事が起きるか、みたいな、なんかこうドラマとしての連なりのあるものを書かなくちゃいけなくて、それが俺は下手なんだな(致命的)。
  2. 関係性のタイプ
    いろんなのがあった。
    嫌い(吉沢修二→吉沢空)、エースとエースになれなかった自分(修二→空)、尊敬(修二→守屋)、加害(修二→空)、投手を諦めた人繋がり(修二、鈴木アキ先輩)、夢をたくす人(玉井先輩→修二)、居場所を奪う人二号(修二→片山)
    これ全然一部なんだけど、これだけ関係性作れるんだなあという感じ。いろんな関係性を見せる、というのはそれだけドラマがあったってことだから、良いよな。
  3. (能力ありきで作られた)自分の居場所というテーマ
    主人公がずっと悩めるテーマでよかったなと思う。
  4. 嫌いという感情を書き続けたこと
    負の感情を正面から書き続けて、かつバッテリーであるという社会的な要請で仲良くしなきゃいけない、とかも面白かった。

まあこんなところ。ちょっと自分の小説も書きたいので以上。